避妊以外のピルの効用

@月経困難症の治療 月経時に腹痛が激しく痛み止めを必ず服用する方はピルを服用すると楽になります。子宮筋腫や子宮内膜症をお持ちの方も服用できます。

A月経不順の治療 毎月の月経が規則正しく28日周期で来ます。温泉旅行に月経が当たりそうなときは服用期間を調節することで月経開始日を遅らせる(または早める)ことができます。

Bにきびや肌の乾燥で悩んでいる人 ストレスや疲労により皮膚における男性ホルモンから女性ホルモンへの代謝が阻害されると顎の周囲にニキビができやすくなります(ストレスにきび)。ピルに含まれる卵胞ホルモン(estrogen)と黄体ホルモン(progesterone)を補給することにより、肌が瑞々しくなります。

C月経に伴う気分不快(PMDD)や情緒不安定が診られる人 ピルの服用により気分が安定する効果が認められています。女性のうつ症状の治療に使用されることもあります。

ピルを服用できない人 (2015年日本産婦人科学会ガイドラインより)

@喫煙している方[深部静脈血栓症や肺塞栓症の副作用が起こりやすくなる。]

A骨成長が終了していない若い女性[骨端の早期閉鎖を来すおそれがある。]

B乳がんの診断がついている方[がんの進行を早めてしまう場合がある。]

C妊娠または妊娠している可能性のある方[女性ホルモンのバランスを崩すことがある。]

Dその他[重篤な肝障害、腎障害、閃輝暗点を有する片頭痛、血栓症、自己免疫疾患、収縮期160mm Hg以上の高血圧、糖尿病性腎症、網膜症に人]]

 よくあるご質問 

@ピルをのむと妊娠に影響がありますか?
 ピル服用中は排卵が起きないため妊娠しませんが、ピルを中止すると約14日で排卵が起こり、妊娠可能です。ピル服用後の胎児への影響は報告されておりません。

A病院ではどんな診察をするのですか?
問診(喫煙の有無、血栓症の既往、健康診断の結果、月経困難症の有無)および内科的診察(血圧、聴診、浮腫の有無)を行います。少なくとも1年に1度血液検査を行い、肝機能、血液凝固能をモニターします。

B健康保険は使えますか? 
健康保険適応の要件として、婦人科で年に1度内診をすることが求められていますので、当院では自費のマーベロンとそのジェネリック(ファボワール)のみ扱っています。

避妊目的や月経期間の調節は保険適応外になりますので、自費で処方可能です。

C値段はいくらですか? 
当院で扱っているピルはマーベロン1ヶ月分2,500円、ファボワール1ヶ月分2,000円(別途初診料5,500円、再診料1,100円

D何日分まで処方してもらえますか? 
最高で3ヶ月処方致します。
初回は1ヶ月分、2回め以降は3ヶ月まで処方致します。ファボワール3ヶ月で1,100+2,000×3=7310円です。

Eいつから飲み始めるのですか? 
月経開始日から1週間以内に飲み始めます。月経1週間前をすぎると、ピルを服用していても出血が起こります。

F何歳まで服用することができますか? 
避妊目的では40歳までが目安です。その他月経困難症に対しては閉経期まで服用することができますが、血栓症の出現頻度も高くなります。心血管危険因子(高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、肥満、家族歴)がある方は40歳以上の服用は控えましょう。

Gピル服用中に妊娠が判明したのですが、胎児に悪影響がありますか。
ピルを規則正しく服用している人の避妊率は、1年以上服用している方では99.7%と効率です。100%の避妊は不可能ですが、万が一ピル服用中に妊娠したとしても、児に悪影響がないと報告されています。英国国民保険サービス(NHS)

H授乳中にピルを服用できますか?
一般的に授乳中はプロラクチンという乳汁分泌ホルモンの影響で月経は止まっています。授乳中であっても半年から1年経過すると月経が始まります。授乳中のピルの内服はできないと添付文書にありますが、児が離乳食を開始している頃にはピルを再開しても問題ないと思います。米国では授乳中のピル服用は禁忌ではありません。米国産婦人科学会

Iミニピル(Progestogen-Only Pill: POP)の処方はできますか? 
POPは少量の黄体ホルモンのみ含まれている経口避妊薬で、エストロゲンが含まれていないので喫煙者や高血圧症の方も服用できるものです。日本では認可されておらず、処方できません。ディナゲスト(ジェノゲスト1000μg)のように子宮内膜症で使用する黄体ホルモンは高用量であり、経口避妊薬としては使用できません。

 服用開始後の身体管理 

@体重を週1度は測りましょう
ピル服用中は体に水分が溜まりやすくなり、むくみや体重増加がみられることがあります。

Aときどき血圧を測りましょう
女性ホルモン(エストロゲン)により、高血圧をきたすことがあります。病院やジムでときどき血圧を測りましょう。

B定期的に通院しましょう
稀に血栓症といって血管内に血の塊ができることがあります。特に下腿(膝から下)の痛みが認められることがあり、40歳以上の方は年に2回、40歳未満の方は年に1回は血液検査を行います(肝機能、凝固能検査)。

 ピル(oral contraceptives)をうまくつかいましょう。 

当院で処方しているピルは最もエストロゲン量(30μg)の少ないマーベロンです(2019年9月よりマーベロンジェネリックのファボワール再入荷しました)。初めて服用するかたは、マーベロンをおすすめします(ファボワールではまれに不規則な出血が見られるため)。
初回は1ヶ月分、2回め以降は3ヶ月まで処方致します。マーベロン3ヶ月で1,100+2,500×3=8,600円(税込み)ファボワール3ヶ月で1,100+2000×3=7,100円(税込み)です。


(文責 院長 鈴木 努

(2019-10-02 revised)
(2021-05-10 revised)
(2023-05-18 revised)

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