その9 インフルエンザについて
新年おめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

お正月は十分からだを休められましたでしょうか。 昨年末、当クリニックでインフルエンザの方は週に1ー2人でしたが、 年が明けてからは毎日2-3人の患者が発生しています。

インフルエンザの分類
インフルエンザの分類はウイルスを構成するタンパク質の特徴(抗原性) より、A型、B型、C型に分類されますが、C型は幼児期に罹患 (一般の鼻風邪として)して終生免疫ができるので、一般にインフルエンザ といえばA型とB型を指します。A型はウイルスの表面にあるタンパク質 ヘマグルチニン(HA 16種類)とノイラミニダーゼ(NA 9種類)の組み合わ せで16×9で144種類存在します。

A型は、高熱を特徴とする香港型(H3N2)、咳で始まるソ連型(2009年の 新型 H1N1)、中国で流行した鳥インフルエンザ(H5N1)などが有名です。

B型は、多様性に乏しくビクトリア型、山形型の2種類に大きく分類され ます。この2つの型は、毎年変更されるワクチンに必ず含まれているので、 ワクチンを接種すれば全てのB型に対して効果があるといわれています。

ワクチンはいつ打つか
インフルエンザワクチンは毎年前年度の流行を踏まえて検討され、 5月ごろに厚労省健康局により決定されます。今年は昨年同様、 A型2種類(香港型、ソ連型)、B型2種類(ビクトリア型、山形型)、 計4種類の抗原が含まれています。

ワクチンは感染を未然に防ぐことはできませんが、体内の免疫力を高めて インフルエンザの症状を軽くすることができます。ですから最近では、 36度台でもインフルエンザ検査陽性の場合があります。ワクチン接種後 2週間ぐらいで体内の免疫力が高まります。インフルエンザ発症のピーク は1-2月ですので、12月末までに受けていただくのが良いと思います。

高熱が出たらどうするか
診療所を受診していただくのはもちろんですが、発症12時間以内では 検査キットで疑陰性なることが多く、解熱剤をもらって帰宅していただ き、翌日熱があれば再度インフルエンザ検査をします。

インフルエンザの治療
タミフル(カプセル 5日間) 、リレンザ(吸入 5日間)、イナビル(吸入 1日)、 ゾフルーザ(錠剤 1日)があります。イナビル、ゾフルーザがよく使用され ます。どの薬も発症から48時間以降は服用してもしなくても経過に差が みられません。また、和漢の麻黄湯も免疫を高める機能があり有効です。

治ったかどうかの判定
特別な検査は必要なく、発熱した日から6日経過し症状がなければ、 7日目から出勤可能です。ただし、「咳が長引いている」「鼻水が続く」 など症状が長引いている時は、肺炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎の 合併などが考えられますので、再度医療機関を受診しましょう。

予防
十分な睡眠、栄養、適度の運動などといわれますが、20代までは免疫力が 不十分で、30代、40代は子供と接する機会が多く、非常にかかりやすい と思います。ワクチンを毎年打って症状を軽くさせること(感染は予防 できない)、うがい、手洗いなどよくいわれることでしょうか。 もしかかってしまった場合は、「疲れが溜まっているので休むように」と いう神様のご配慮と思って、ゆっくり体を休めましょう。

流行のピークは2月ですので、自己管理を怠らず厳しい季節を乗り越えましょう。

以上です。
2020.01.05 19:34 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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