その34 ウイルス感染後症候群(post-viral syndrome)
オミクロン株が蔓延して、そろそろ皆さんの周辺でもかかる人が出てきていると思います。オミクロンはデルタ株までの新型ウルスとは異なり、上気道症状が中心で重症化しないと言われています。ところが、新型コロナ感染症は、初期の悪寒、発熱、咽頭痛などの症状以外に、長期的に悩まされる症状があり注意が必要です。

国立感染症研究所は①急性期症状、②急性期から遷延する症状、③回復後に出現する遅発症状、に分類しました。②は主に倦怠感、味覚・嗅覚障害、咳、呼吸困難などです。③はウイルス感染後疲労症候群とも呼ばれ、脱毛、集中力、記銘力低下、うつなどの症状です。脳に霧がかかったようになって、思考力や認知機能が低下するブレインフォグ(脳の霧)、頭痛、しびれなどの神経症状続きます(日本醫亊新報 No.5096 p6-7)。

海外でも米国疾患管理予防センター(CDC)英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、COVID-19罹患後4週間以上続く症状をロングコビットと定義しています。

これは新型コロナウイルスに限った症状ではなく、インフルエンザ、コクサッキー(手足口病) 、パルボ(リンゴ病)、デング熱、伝染性単核球症などあらゆるウイルス感染症後にみられます。

前置きが長くなりましたが、今回のテーマはウイルス感染後症候群(post-viral syndrome)です。

1990年代に提唱された慢性疲労症候群という概念をご存知の方もあると思います。ウイルス感染後に意欲低下や全身倦怠感が続き、元気だった人が仕事もできずに寝たきりに近い状態になってしまいます。その原因がメンタルかフィジカルかが論争になったことがあります。最近では慢性的な免疫賦活状態(体の中で炎症がくすぶっている)ということがわかっています。

これと同様に新型コロナ感染症後に体内で炎症が続いた場合は、それに対応する治療が必要になりますので注意が必要です。頻度が高いものとして、

1) 二次感染としての化膿性咽頭炎、副鼻腔炎、肺炎、腸炎→抗菌薬による治療
2)長引く咳(無菌性の気管支炎)→ステロイドの吸入
3)意欲低下、思考力低下、易疲労感→食事療法、運動療法、芸術療法

これらの症状の原因は体内で炎症が遷延化していることにので、疲れが溜まり自律神経のバランスが低下している場合に起こります。巷では新型コロナ後遺症外来が予約で一杯のようですが、症状に対する不安感が治りを悪くしている原因の一つだと考えられています。一番の治療は、自然に触れて、よく休む、よく笑うことでしょうか。

さて、もし皆さんが熱が出て近所の医療機関を受診しようにも「検査キットがない」「予約が一杯で受けられない」と言われた場合は、ご遠慮なくクリニックまでご連絡ください。テレワークならぬテレメディシンのシステムを用意しておりますのでぜひご利用ください。

https://www.sannoclinic.jp/online.htm

報道によれば英国も米国もオミクロンは減少に転じています。日本でも後1ヶ月もすれば収束するでしょうから、今年のお花見は思いっきり盛り上がれるといいですね。

以上です。
2022.02.03 19:45 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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