その24 春眠と概日リズム
春眠不覚暁/処処聞啼鳥/夜来風雨声/花落知多少
春はとてもよく眠れるので、鳥が鳴くのも、雨音も、花の散るのも分からず、朝までよく 眠ってしまう、という有名な漢詩があります。

その一方で春になると、体調が優れない、気分が落ち着かないという人もいます。

春は生活環境の変化、新しい出会いや新たなスタートがあるため、雰囲気に呑まれてしま うこともあるでしょう。この他に春の体調不良の原因として、夜の長い冬の間に遅れた体 内時計が元に戻らず、体に負担をかけていることが考えられます。体内時計ではまだ眠っ ている時間なのに、起きて動き出さなければいけないからです。

概日リズム(circadian rhythm) という概念がありあます。生物に備わっている体内時 計を指し、それは文字通り概ね1日(24時間15分)の規則性があると言われています。概日 リズムは、睡眠、食事の時間を決める上で重要な役割を果たしています。

網膜が感知したは光刺激が視神経の奥にある視交叉上核(suprachiasmic nucleus)を通じ て松果体へ送られ、睡眠誘発作用のあるメラトニンの産生を抑えます。メラトニンは暗く なると作られて眠気が出てきます。メラトニンの類似物質は睡眠薬としても上梓されてい ます。

この概日リズムは、強い光によってリセットされると言われています。夜更かしや時差ぼ けで概日リズムが狂ってきた時は、朝太陽の光を浴びることで調整できるので、起きたら カーテンを開け、太陽光に顔を向けることをお勧めします。

概日リズムが24時間より長い人は、放っておくと寝る時間と起きる時間が遅くなり、逆 に24時間より短い人は、それらがだんだん早くなってきます。お年寄りの中には夜7時に 寝て朝3時に目が覚める人がいますし、若者の中に午前4時に寝てお昼に起きる人もいま す。これを概日リズム睡眠障害といいます。

スマホやテレビの画面から発せられるブルーライトは可視光線ですが、紫外線の次に波長 が短く、強いエネルギーを持って網膜に届きます。室内光の5倍以上の力でメラトニンの 産生を抑え、不眠症の原因になります。

春の体調管理は、夜のブルーライトを避け、朝の光を浴びることが大切です。

以上です。
2021.04.02 19:54 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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