その47 花粉症対策のツボ
今年は花粉症の症状が強いと言われてますので、取り急ぎ作成しました。

ツボ1 アレルギーとは何?
白血球は外敵から身を守る働き(免疫)をしていますが、免疫が必要以上に働いた結果出現する症状をアレルギーといいます。アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性気管支炎、アレルギー性血管炎などの病名がつきます。

アレルギー体質の人は白血球が過剰に働きすぎているため、皮膚や粘膜が腫れやすい特徴があります。もっと過剰に働くと自分の組織を攻撃して、リウマチなどの自己免疫疾患となります。アレルギー体質の人は、ワクチン接種や風邪の後の反応が強く出ます。

免疫には自然免疫(innate immunity)獲得免疫(acquired immunity)があり、前者は生まれつき備わっているもの、後者は生後に形成されるものです。アレルギーは獲得免疫が過剰に働く場合に起こります。一番激しいものは、アナフィラキシーといい、気管支粘膜が腫れて窒息死します。

ツボ2 アレルギー性鼻炎の分類を知ろう
外的要因(特定のアレルゲン(アレルギーの元)がある場合)
通年アレルギー(ハウスダスト)
季節性アレルギー(春:スギ(2-4月)ヒノキ(4−5)、秋:イネ(6−11)ブタクサ(9-11))

内的要因(特定のアレルゲンはないが、体質的に炎症を起こしやすい)
非アトピー性アレルギー(ストレス、疲労、寒冷刺激で症状が出る)
耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 ガイドライン2021

ツボ3 アレルギー発症のメカニズム
外的要因にせよ内的要因にせよ、最終的には白血球(肥満細胞)がヒスタミンやロイコトリエンなどの血管拡張物質を放出した結果、粘膜や皮膚が腫れることで様々な症状を起こします。粘膜の腫れ(じんましん、鼻詰まり、息苦しさ)、知覚過敏(目や喉のかゆみ、くしゃみ、咳、腹痛)、粘液増加(涙、鼻水、痰、下痢)などが主な症状です。

ツボ4 アレルギーの治療原則
白血球の全体的な働きを弱めるステロイドや炎症物質(ヒスタミン、ロイコトリエン)をブロックする薬(抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬)を使います。薬物療法以外では、アレルゲンを避けることはもちろんですが、十分な睡眠、適度な運動そして白血球を騒がせないリラクゼーションが大切です。

ツボ5 病院の方が安くてよく効くものがある
市販されている薬を病院でもらうと、眠くならない第2世代抗ヒスタミンの場合、

市販 クラリチン(1ヶ月 2500~4000円)
処方 ロラタジン:クラリチンのジェネリック(1ヶ月 保険適応で19.2*30*.3=172円)
と、値段が10倍以上違います(初診料は約1000円です)。

また、市販薬にはありませんが処方薬には安くて有効な薬があります。
抗ロイコトリエン薬 (モンテルカスト 1錠20円 保険適応で月に180円)

ツボ6 市販の点眼薬は使わない、処方薬でも連用しないこと
市販 眠くなる成分や血管収縮薬、メントールなど刺激物が含まれています。その上高い。市販薬は10ml前後で1500円程度します。
処方  ステロイド点眼薬 花粉症で目が充血したりかゆいときは、抗炎症作用を持つステロイドを1−2
日だけですぐに治ります。しかも安い。フルメトロン0.02%点眼 5mlで155円(3割負担で50円)。

ツボ7 市販の点鼻薬は使わない、処方薬を連用すること
2019年からスイッチOTC(over-the-counter市販薬のこと)としてステロイド点鼻薬が登場していますが、安全性に配慮しているためかステロイドの量が少なく、効果は限定的です。また抗ヒスタミン薬や血管収縮薬などが追加されているため、眠くなったり粘膜の線維化をきたすことがありおすすめできません。

ステロイド点鼻は点眼薬と違って予防的に毎日使用します。即効性はありません。使い始めてから1週間ぐらいで、粘膜の炎症が治まりスッキリしてきます。市販薬の中には「すぐに効く」と謳っているものがありますが、血管収縮薬を使用しているため、粘膜を痛める原因となります。
処方 アラミスト(3割負担で1ヶ月分1050円)

ツボ8 咳が長引くとき咳止めは効かない、吸入すること
気管支の炎症を抑えるため、内服薬とステロイド吸入が必要です。放っておくと数ヶ月以上症状が続き、肺炎をきたすことがあります。
処方 アズマネックス (3割負担で620円)

以上です
2023.02.22 14:34 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ
がん検診の推奨上限年齢は69歳以下と提案されました
検診のメリットは早期発見・治療による死亡リスク低下や安心感。デメリットは偽陽性、偽陰性、過剰診断、偶発症があります。特にがん検診の有効性を検定する上で問題と成るバイアス(真実からの偏り)がありあます。

一つは、リードタイムバイアスといい、早期に発見されれば、症状が出てから治療を受けるよりも、見かけ上生存率が高くなります。もう一つはレングスバイアスといい、健診を行わなければ発見されずに他の疾患で死亡するような進行の遅いがんを検診によって発見してしまい、不要な治療が行われる可能性があることです。

検診2020年の厚労省がん検診のあり方に関する検討会中間報告では「がんの推奨上限年齢は69歳以下」と提案されました。

これは、欧米のがん検診指針や、偶発症が70歳以上で増加すること、標準治療の効果が確立している年齢が70歳前半までであること、がん以外の病状によって余命10年以下と考えられるケースが増えることなどが考慮されています。

偶発症(procedural accident)→検査や治療によって生じる症状。

福本真也 医事新報N05156 2023.2.18

がん検診 健康診断
2023.02.19 17:43 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 医療福祉問題
その46 ストレス性胃炎(機能性胃腸障害)
胃の調子が悪い状態が半年以上続き、必要な検査で異常を認めないときは、機能性胃腸障害(いわゆるストレス性胃炎)と診断されます。つまりは胃の形態は正常(胃カメラではとても綺麗と言われます)ですが、胃の働きが悪いということです。症状としては、胃の痛み、腹部膨満感(お腹が貼る感じ)、悪心(吐きそうな感じ)、不全麻痺(すぐにお腹が一杯になったり、ゲップが出る)などがあります。

機能不全の原因は自律神経の緊張と考えられてします。緊張時は交感神経からアドレナリンが放出され、胃腸は収縮します。非緊張状態では副交感神経末端からアセチルコリンが放出され、胃腸は弛緩してよく動くようになります。このようにヒトの臓器は、車のアクセル(交感神経)ブレーキ(副交感神経)のように二重支配されています。



https://www.cghjournal.org/article/S1542-3565%2819%2930640-8/fulltext

上図のように、胃不全麻痺(gastroparesis)という概念があります。胃の蠕動運動が低下すると、胃から食物などが排出されるのが遅くなります。蠕動は副交感神経刺激で活発になりますが、緊張状態では低下します。女性では男性に比べ、生まれつき蠕動は弱く、特に月経前に黄体ホルモン値が上昇すると、蠕動低下は著しくなります。

精神的ストレスが強い状態では、胃の蠕動が低下するだけでなく、胃全体が収縮して硬くなります。そのため、食べ物を見たり歯を磨こうとしたりするだけで、吐き気を催したり痛みを感じたりすることがあります。そのような状態が続くと体重が減り、疲れやすくなったり意欲が低下したりします。

胃を弛緩させ蠕動を促進する方法(健胃法)
1)腹式呼吸
2)リラックス(瞑想、ヨガ、坐禅など)
3)運動、体操、ストレッチ
4)アルコール、糖分、カロリーを控える
5)お腹のマッサージ
などがあります。特に有効なのは「お腹を凹ませる(draw-in exercises)」です。これは仕事中でも電車の中でも、その気になればいつでもできる運動です。腹筋も鍛えられます。忙しくて運動する暇がないという方にぜひお勧めします。

行動科学の研究によるとという消化管と脳の密接な関係が明らかになっており、消化管は第二の脳と言われています。お腹の調子が悪いと不安になり、不安・緊張が高まるとお腹の調子が悪くなります。脳と消化管は迷走神経という神経で繋がっており、それぞれの臓器の情報交換をしています。

胃腸が弱い方は「健胃法」をぜひお試しください。

以上です。
2023.02.02 10:25 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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