コロナ後遺症対応医療機関
東京都から掲題医療機関に登録するようメールがありました。コロナ後遺症で困っている方が多いのだと思います。新型コロナ後遺症に関する当院の方針を記します。

東京都保健福祉局のサイトには21種類もの症状(倦怠感、疲労感、筋肉痛、咳、息切れ、脱毛、集中力低下、頭痛、発熱、味覚障害、下痢、睡眠障害、ブレインフォグ、喀痰、胸痛、記憶障害、不眠、抑うつ、嗅覚障害、動悸、筋力低下)と各症状に対応可能な医療機関が一蘭表になっています(東京都保健福祉局サイト

上記の症状の根本は、ウイルス感染後の慢性炎症と考えられますが、自律神経の緊張によって症状が遷延化(長引いてしまう)ことが予想されます。

風邪を引いた後に咳が長引く人、疲労蓄積によって蕁麻疹が出る人、なども自律神経の緊張による慢性炎症が原因です。自律神経の緊張状態では、白血球がさまざまな炎症惹起物質(サイトカイン)を放出しますので、皮膚、粘膜、筋肉、神経などの炎症が慢性化します。

一方、局所の症状に捉われすぎると、感覚神経が敏感になり(いわゆる脳過敏)、症状が長期間持続します。脳内の神経回路が固定化され、条件反射的に神経の興奮が惹起されるので、局所の炎症はないにもかかわらず、痛みが固定化します。このような症状は疼痛症(CPS: chronic pain syndrome (G89.4))と診断されます。疼痛症は除外診断といって、可能性のある病気が全て否定されたあとに診断されます。

疼痛症と似た概念に複合性局所疼痛症候群(CRPS(G90.5)RSDとも呼ばれる)があります。これは大怪我の後、明らかな神経障害を認めないにも関わらず、慢性的に交感神経の緊張によって、局所の激痛、むくみ、色素沈着が起こっている状態です。疼痛症では局所の変化は認めません。

コロナ後遺症でも、他覚所見(検査や診察による明らかな異常)が見られないが、自覚症状がある状態で、適切な治療につながらない場合が多いと予想されます。神経内科、循環器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、耳鼻科などを受診しても、異常がありませんの一言で帰されてしまうと、患者の不安はますます高まり、症状は固定して治りにくくなります。

症状を固定させないためには、脳(自律神経)の緊張をほぐすような治療が必要になってきます。当院では新型コロナ後遺症に対して、自己管理の方法(運動、食事、症状に対する考え方)をテーマに2週間に1度の割合で通院していただき、必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬等を使用します。漢方をご希望の方は加味帰脾湯を使用します。

ウイルス感染後症候群(post-viral syndrome) 健康一口メモ

Long-term effects of coronavirus (NHS) 英国国民健康サービス

Long COVID  米国疾病対策予防センター
2022.10.17 16:31 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 医療福祉問題

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