めまいの根本原因は自律神経の緊張(脳の感覚過敏)です
暑い季節になるとめまいや頭痛を訴える人が多くなります。

「顔を動かすと天井がぐるぐる回
る」「雲の上を歩いているように足元が柔らかい」などと訴える方がいます。前者を回転性めまい(めまい:vertigo)、後者を非回転性めまい(ふらつき: dizziness)といいます。その他の随伴症状としては、吐き気、の閉塞感(低音性難聴)、耳鳴りなどがあります。

めまいの原因は大きく2つに分類されます。中枢性めまいと末梢性めまいです。中枢性めまいは、脳内の器質的疾患(脳伷塞、脳出血、脳腫瘍、水頭症など)を認める場合です。抹消性は、脳内に明らな異常を認めない場合で、耳鼻科を受診して、頭部MRIやCTで異常を認めなければ「メニエール(1867年発表)ですね」とか「耳石が原因です(良性発作性頭位性めまい1952年)」「内耳のリンパ液の増加している(内リンパ水腫1965年)」などと説明されます。
最近では、3ヶ月以上続く非回転性めまいにPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい2017年)などと名付けられましが確定診断できるツールはありません。めまいの治療薬は、利尿薬(イソバイド)、ビタミン剤(メチコバール)や循環改善薬(ベタヒスチン)などがあります。これらの薬の上梓はそれぞれ、1968年、1978年そして1977年で、昭和の薬が今使われています。このようにめまいに対する診断と治療は、この半世進歩がありません。またこれらの薬によりめまが治ったのか、自然に治ったのか判断できないほどの効果しかありません。

上図は、耳の解剖を簡略的に示したものです。音が鼓膜を振動させ、それを耳小骨という3つの小さな骨が増幅して内耳(カタツムリのような器官)に伝えます。その情報は内耳神経(前庭神経+蝸牛神経)を通って延髄(脳と脊髄の接合部)に至ります。延髄は大脳皮質(感覚、思考、判断)、大脳辺縁系(感情、記憶、自律神経)や小脳(平衡機能)と密接に繋がっていますので、めまいは思考、感情の影響を強く受けます。

大地震や洪水などの大災害の後にめまいの患者さんが増えると言われるように、会社やプライベートの強いストレスでもめまいが生じます。朝起きてめまいや嘔吐がある場合、ストレスを受け止めきれなくなっている状態と考えられます。体調不良が起こると不安感が増しますので、大脳皮質の感覚がどんどん敏感になり、自律神経が緊張して体中の血管が収縮して、脳の酸素不足が起こり、ますます感覚過敏となります。
このような症状は、いわゆるめまい治療薬では完治しません。自律神経の緊張を緩める治療が必要になります。そのためには症状に対する考え方(認知)を修正したり、血の巡りを良くする体操や呼吸法を行います。それでも効果が見られない場合には、向精神薬を使います。1年間続くめまいで左右確認ができず、車の運手ができなかった方が耳鼻科から紹介され、向精神薬を開始して翌日には治った経験があります。
なんと言っても最も効果的な方法は、1ヶ月休みをとってハワイや温泉でのんびりすることだと思います。
以上です。
*日本神経治療学会 標準的神経治療:めまい 2011
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/memai.pdf
** メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン 2025年

「顔を動かすと天井がぐるぐる回
る」「雲の上を歩いているように足元が柔らかい」などと訴える方がいます。前者を回転性めまい(めまい:vertigo)、後者を非回転性めまい(ふらつき: dizziness)といいます。その他の随伴症状としては、吐き気、の閉塞感(低音性難聴)、耳鳴りなどがあります。

めまいの原因は大きく2つに分類されます。中枢性めまいと末梢性めまいです。中枢性めまいは、脳内の器質的疾患(脳伷塞、脳出血、脳腫瘍、水頭症など)を認める場合です。抹消性は、脳内に明らな異常を認めない場合で、耳鼻科を受診して、頭部MRIやCTで異常を認めなければ「メニエール(1867年発表)ですね」とか「耳石が原因です(良性発作性頭位性めまい1952年)」「内耳のリンパ液の増加している(内リンパ水腫1965年)」などと説明されます。
最近では、3ヶ月以上続く非回転性めまいにPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい2017年)などと名付けられましが確定診断できるツールはありません。めまいの治療薬は、利尿薬(イソバイド)、ビタミン剤(メチコバール)や循環改善薬(ベタヒスチン)などがあります。これらの薬の上梓はそれぞれ、1968年、1978年そして1977年で、昭和の薬が今使われています。このようにめまいに対する診断と治療は、この半世進歩がありません。またこれらの薬によりめまが治ったのか、自然に治ったのか判断できないほどの効果しかありません。

上図は、耳の解剖を簡略的に示したものです。音が鼓膜を振動させ、それを耳小骨という3つの小さな骨が増幅して内耳(カタツムリのような器官)に伝えます。その情報は内耳神経(前庭神経+蝸牛神経)を通って延髄(脳と脊髄の接合部)に至ります。延髄は大脳皮質(感覚、思考、判断)、大脳辺縁系(感情、記憶、自律神経)や小脳(平衡機能)と密接に繋がっていますので、めまいは思考、感情の影響を強く受けます。

大地震や洪水などの大災害の後にめまいの患者さんが増えると言われるように、会社やプライベートの強いストレスでもめまいが生じます。朝起きてめまいや嘔吐がある場合、ストレスを受け止めきれなくなっている状態と考えられます。体調不良が起こると不安感が増しますので、大脳皮質の感覚がどんどん敏感になり、自律神経が緊張して体中の血管が収縮して、脳の酸素不足が起こり、ますます感覚過敏となります。
このような症状は、いわゆるめまい治療薬では完治しません。自律神経の緊張を緩める治療が必要になります。そのためには症状に対する考え方(認知)を修正したり、血の巡りを良くする体操や呼吸法を行います。それでも効果が見られない場合には、向精神薬を使います。1年間続くめまいで左右確認ができず、車の運手ができなかった方が耳鼻科から紹介され、向精神薬を開始して翌日には治った経験があります。
なんと言っても最も効果的な方法は、1ヶ月休みをとってハワイや温泉でのんびりすることだと思います。
以上です。
*日本神経治療学会 標準的神経治療:めまい 2011
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/memai.pdf
** メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン 2025年