その82 「仕事と治療の両立支援」について
今回は、令和8年4月1日施行される「改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)」
についてまとめます。

この法律は、労働者が生きがいをもって働ける社会の実現を目的に、1966年に「雇用対
策法」
として制定されました。2019年の改正で、2020年6月から大企業に、2022年4月自
業者に「すべての事業主は職場におけるパワーハラスメント防止のために、相談窓口の設
置や迅速な対応などの雇用管理上の必要な措置を講じること」が義務付けられました。

2025年にさらに改正され、①カスハラ、就活セクハラ防止対策、②女性活躍のため、女性
管理職の比率、男女賃金平均値公表、そして今回のテーマとなる、③仕事と治療の両立支
が努力義務として課されます。



これによって、これまでの「安全配慮(労働契約法 2008年)」「合理的配慮(障害者差別法 
2024)
」「両立支援(労働施策総合推進法 2026年)」という3つの配慮が事業者にもとめ
られることになります。

「安全配慮」とは、残業、出張などを制限して、労働者の就業を制限するものです。いわ
ば、「働かせないための配慮」です。
「合理的配慮」は、障害特性を考慮して、事業者にとって過度な負担にならない範囲で環
境調整することです。例えば、車椅子使用者のためにスロープを設置したり、休憩時間や
勤務時間を体調に合わせて調整することです。「皆で知恵をしぼって、気持ちよく働いて
もらう配慮」といえます。

今回新たな配慮として加わる「両立支援」は、仕事と治療の両立支援です。何らかの治療
を受けている労働者が事業者に申し出る必要があります。労働者が事業者と共同で勤務情
報を作成し、主治医に就労意見を求めます。就業規則や服務規定から外れるのでできませ
んと片付けるのではなく、事業者、労働者及び主治医の意見を集約して規則や規定外の配
慮を行うものです。例えば、定期受診があるために会議の出席を免除し、通院を許可する
ことです。いわば「規則・規定を超えた支援、配慮」です。



これら3つの配慮は、従業員の健康管理を「コスト」ではなく「将来の投資」と捉える健
康経営において重要視されています。健康経営のメリットとしては生産向上、離職率低
下、採用力強化につながります。経済産業省はホワイト500と称する健康経営優良法人認
定を行っています。

一方で上のグラフのように「現場従業員の負担増」「上司や同僚の理解不足」「給与や待
遇の低下」などの問題があり、両立支援にあたっては労働者と人事担当者が対話を重ね、
職場に過度の負担が生じないよう留意し、当該社員の納得が得られるようにすることが必
要です。

2019年に改正された「がん対策基本法」により、一部の企業では「仕事と治療の両立
への取り組みは進んでいますが、これからは「がん」の他「脳血管疾患」「糖尿病」「難
病」「肝疾患」そして来年度から「精神疾患」への対象拡大が見込まれています。

慢性の病気で通院中の方は、人事総務担当者と「仕事と治療の両立」について相談してみ
てください。

以上です。
2026.02.03 16:32 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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