その80 慢性じんましん
働き盛りの40歳前後の男女(女>男)に多くみられるのが、じんましんです。皮膚が蚊に刺されたように腫れて、強い痒みが生じますが、朝になると跡形なく消えてしまいます。じんましんは皮下の毛細血管が広がって、痒みの物質(ヒスタミン)が皮下組織の感覚神経に作用して、強い痒みをきたします。6週間以上続く場合、慢性じんましんといいます。

皮膚科を受診されることが多いと思いますが、内科でも診断治療を行っています。じんましんの80%は原因不明あり、特発性じんましんと呼ばれています。残りの2割は、寒冷刺激、運動、日光、食物によるものがあります。ほとんどが原因不明なので、血液検査によるアレルゲン(アレルギーの素)検索は、参考程度のものになります。じんましんの発生機序は、下の図のように内因性経路(体質)と外因性経路(誘因)に分けて説明されています。

ここで重要な役割を果たすのが、肥満細胞(mast cell)です。肥満細胞は血液中には存在せず、皮下、粘膜の血管周囲に分布しています。細胞の中に化学伝達物質(ヒスタミン、インターロイキン、トリプターゼ)の顆粒を含み、パンパンに膨らんでいます。
肥満細胞の細胞膜には、さまざまなスイッチ(受容体)があり、スイッチが入ると脱顆粒といってヒスタミンなどの物質が周囲に放出されます。ヒスタミンにより血管内からリンパ液が皮下
に漏れたり血管が膨らみ、じんましんの症状が出るのです。
一般にはストレス、食事、寒さ、暑さなどがきっかけになり、スイッチが入ります。仕事で疲れているとスイッチは入りやすくなり、長期休暇中などは入りにくくなります。じんましんを予防・治療する薬剤を下の表にまとめました。

抗ヒスタミン薬は、白血球が放出するヒスタミンという血管を広げる物質をブロックする薬です。じんましんの薬な第一選択は第2世代抗ヒスタミン薬です。第1世代の抗ヒスタミン薬は、鎮静作用が強く眠くなりますので、現在ではほとんど使用されていません。いずれも薬局で買うと、病院処方薬より10倍くらい高くなります(病院初診料は薬+1,000円ぐらい、薬局の薬(OTC)と病院の薬は量も成分も全く同じです)。
水色で示した薬剤は医療用医薬品(処方薬)ですが、現在薬局でも販売されており、
OTC(市販薬OTC; Over The Counter)類似薬と呼ばれており、上表の水色で示しました。
病院でこれらの薬、ジェネリックがあるのに先発品、を希望すると、その差額分の4分の1
を薬局で払わないといけません。計算してみると、(4,620 − 370) ÷ 4 = 1,062.5となり、3
割負担の370円プラス1,000円を支払わないといけないのです。当院は院内処方ですので、
この上乗せはされません。現在、国会ではこのOTC類似薬を健康保険適応外としようとし
ていましたが、患者団体からの反発で今回は見送られました。
皮膚の表面(角質)は正常ですので、基本的に塗り薬は効きません(引っ掻き後には有効)。
じんましんで悩んでいる方は、ぜひご相談ください。
以上です。

皮膚科を受診されることが多いと思いますが、内科でも診断治療を行っています。じんましんの80%は原因不明あり、特発性じんましんと呼ばれています。残りの2割は、寒冷刺激、運動、日光、食物によるものがあります。ほとんどが原因不明なので、血液検査によるアレルゲン(アレルギーの素)検索は、参考程度のものになります。じんましんの発生機序は、下の図のように内因性経路(体質)と外因性経路(誘因)に分けて説明されています。

ここで重要な役割を果たすのが、肥満細胞(mast cell)です。肥満細胞は血液中には存在せず、皮下、粘膜の血管周囲に分布しています。細胞の中に化学伝達物質(ヒスタミン、インターロイキン、トリプターゼ)の顆粒を含み、パンパンに膨らんでいます。
肥満細胞の細胞膜には、さまざまなスイッチ(受容体)があり、スイッチが入ると脱顆粒といってヒスタミンなどの物質が周囲に放出されます。ヒスタミンにより血管内からリンパ液が皮下
に漏れたり血管が膨らみ、じんましんの症状が出るのです。
一般にはストレス、食事、寒さ、暑さなどがきっかけになり、スイッチが入ります。仕事で疲れているとスイッチは入りやすくなり、長期休暇中などは入りにくくなります。じんましんを予防・治療する薬剤を下の表にまとめました。

抗ヒスタミン薬は、白血球が放出するヒスタミンという血管を広げる物質をブロックする薬です。じんましんの薬な第一選択は第2世代抗ヒスタミン薬です。第1世代の抗ヒスタミン薬は、鎮静作用が強く眠くなりますので、現在ではほとんど使用されていません。いずれも薬局で買うと、病院処方薬より10倍くらい高くなります(病院初診料は薬+1,000円ぐらい、薬局の薬(OTC)と病院の薬は量も成分も全く同じです)。
水色で示した薬剤は医療用医薬品(処方薬)ですが、現在薬局でも販売されており、
OTC(市販薬OTC; Over The Counter)類似薬と呼ばれており、上表の水色で示しました。
病院でこれらの薬、ジェネリックがあるのに先発品、を希望すると、その差額分の4分の1
を薬局で払わないといけません。計算してみると、(4,620 − 370) ÷ 4 = 1,062.5となり、3
割負担の370円プラス1,000円を支払わないといけないのです。当院は院内処方ですので、
この上乗せはされません。現在、国会ではこのOTC類似薬を健康保険適応外としようとし
ていましたが、患者団体からの反発で今回は見送られました。
皮膚の表面(角質)は正常ですので、基本的に塗り薬は効きません(引っ掻き後には有効)。
じんましんで悩んでいる方は、ぜひご相談ください。
以上です。
